2006年 プラネタリウム全面改修


2006年、東北大学天文同好会ではA5執行部を中心に
プラネタリウム投影機の全面改修を行いました。
改修という名前が示すように、本来は老朽化により回路が不安定になった
旧投影機の代替機の作成が本来業務でしたが、
投影される星空の更なるクオリティ追及のため、
以前のアルミボールによる恒星投影機から、リスフィルムを用いた恒星投影機へと
設計を変更。旧投影機の資料も回路図を除いてほとんど現存していなかったため、
駆動系を中心にほとんどすべてを0から作り直すという
全面改修へと至りました。

・製作
プラネ製作総指揮・プロダクトデザイン  A5 籔本
リスフィルム現像 A5 田中 遠藤 小笠原 小田
電子回路・コントロールパネル製作  A5 木田
ドーム内LED照明(RGB)製作  A5 木田
木材・金属加工、駆動系製作  A4 沖田
駆動系設計  A4 沖田 A5 戸澗 籔本
本体フレーム製作  A5 前林 諏訪
恒星座標計算  A5 北爪
恒星原版座標変換  A5 小田
恒星原版プロットプログラム作成  A5 籔本
恒星原版加工・組み立て  A5 田中 籔本
加工全般補助  A5 小田
天の川投影機製作  A5 小笠原
Special Thanks  A1 井野 A2 高橋 飯田 馬籠 A4 尾本 安藤
敬称略
また、リスフィルムによる恒星原版作成に当たって、
東京理科大学天文研究部の中林さんにご協力いただきました。
改めて御礼申しあげます。

・性能諸元
・2球型 リスフィルム製ピンホール式プラネタリウム
内接円半径18cmの切り落とし円筒円錐形、光源間距離36cm
・最大等級約6.5等 (0.1等級刻みで再現、一部恒星彩色・輝度調整)
 恒星数 Yale Univ. Bright Star Catalogue 5th 記載の 9096個
・光源 PWM制御による五藤光学EX球
・駆動系 日周運動再現 正逆無段階変速
 モーター:オリエンタルモーター社製
 ギアードステッピングモーター PK243B2-SG36
 ギア  :協育歯車社製 
 SG1S80B-1020,SG1S28B-1008,S50S120B+0508,S50S35B+0505
・ドーム 間接遮光 開放型エアドーム 円筒部高1.1m 半球部直径3m
・補助投影機 星座絵投影機、スライド投影機、流星群投影機、天の川投影機 他

・取り扱い説明

クリックすると拡大します。
恒星投影機に関する説明は上記の通りです。
・座標変換計算式

クリックすると拡大します。
座標変換計算式に関する説明は上記の通りです。
なお、光源からの距離に対する輝度の補正は上記の式に含まれていません。
(計算書なくしました。見つかり次第追加しておきます。;;)

・各部解説

左に見えるのが配電盤、右にあるのは電源Boxです。
12V電源などを得るために、PC用のATX電源を利用しています。
コントロールパネル、電源、プラネ本体への配電を集中することで、
メンテナンスや収納面でのメリットがあります。

遊星ギアつきのステッピングモーターを、
さらに2段階に減速しています。
回転する恒星軸に電力を供給するロータリー接点は6系統あり、
うち5系統を使用しています。
接点は、アルミの軸に穴を開けてリード線を通し、絶縁テープの上に
針金を巻きつけたところに銅版を押し付ける構造となっています。

作ってみたものの、うまくいかなかった一つ目のギアボックス試作品です。
ギアードモーターではなく、回転速度が速かったために、
ウォームギアを採用しましたが、モーターに過負荷がかかったため
ステッピングモーター特有の振動音が発生し、使い物になりませんでした。

実際に解説者がプラネタリウム内で操作するコントロールパネルです。
EXや天の川、モーターの回転速度やLED照明などを調整します。
直線型のスライド抵抗がいい味をだしています。

リスフィルム製の恒星原版を外したところです。
恒星原版にも木の枠がつけてあるので、3つの蝶ネジを外すだけで
簡単に着脱が可能です。
内部は乱反射を防ぐためになるべく黒く塗っています。
黄色く見えるのはEX点灯回路で、配線が垂れているのはメンテ中だからです。

EX点灯回路を拡大したところです。
ここで12Vのラインから2V2Aの電力を作ります。
載っているICは整流用で、コントロールパネルから来た出力調整用のパルスを
not回路6つによって波形を整えます。
冷却ファンが付いているのはこの回路の肝である三端子レギュレータで、
多量の熱を発生するため冷却する必要があります。
このレギュレーターにより、2V2Aを作っているわけですが、
この部品の出力は温度に大きな影響を受けるため、EXが付かない原因は
ほとんどがこの部品のオーバーヒートです。
もともと定格を大きく上回る使い方をしているので、
回路安定のためにも、早急な回路の再設計を必要としている部分です。
より冷却効率のよいヒートシンクとファンが必要ですが、高さがあると
星像と被ってしまうため単純な大型化はできません。
出力回路の並列化などの対策が必要とされています。
以下加筆中

written by H.Yabumoto(2007)..

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