天体写真講座

☆注:このページは星景写真を中心に天体写真を紹介した08年度学祭企画、
"天体写真講座"をHP用に書き直したものです。

☆1.天体写真の種類☆

☆1.1星景写真☆

天体写真には大きく分けて、星景・星野・直焦の三種類があります。
星景写真は三脚にカメラを載せて撮るだけの最も簡単な撮影法で、
星が動いた軌跡を写すことが出来ます。
図1 図1の写真

☆1.2星野写真☆

星野写真は赤道儀にカメラをのせて星空を写します。
星を追いかけつつ撮る写真なので見上げた星空に近い写真が撮れます。
(風景はブレて写ります)
図2 図2の写真

☆1.3直焦写真☆

直焦写真は望遠鏡にカメラを取り付けて撮影します。
望遠鏡のレンズによって得られた像を直接フィルムに写すので、
カメラレンズもアイピース(接眼レンズ)もいりません。
図3 図の写真

☆2.主な撮影機材の仕組み☆

☆2.1カメラ・フィルムの仕組み☆

実際のカメラでは写真の像のゆがみや色ずれなどを防ぐために
複数枚のレンズを組み合わせたレンズが使われていますが、
ここでは図2.1のような簡単な図で考えたいと思います。
両凸レンズを太陽に向けてその後ろに黒い紙を置くと、
ある距離で太陽の光線が一点に集まり、黒い紙が燃え始めます。
この時の黒い紙の位置を焦げる点という意味で"焦点"といい、
レンズと黒い紙の距離を焦点距離といいます。
焦点距離は一般に"f"という記号で表されます。
レンズの手前に描かれている出っ張りは"絞り"と呼ばれ、
レンズに入る光の量を調節するためのものです。
記号"D" で表されている有効口径は、
レンズに光が入射できる円の直径と考えればよいと思います。
撮影条件の絞りの項でも述べますが、
焦点距離fを有効口径Dで割った値をF値といい、
レンズの明るさを表わします。
図2の1 図2の2
図2.2は簡単なカラーネガフィルムの仕組みです。
光はレンズに入ると屈折し、フィルム上に集められます。
フィルムに光があたることでフィルム内の粒子が反応します。
目では反応した様子が分かりませんが、「現像」をすると、
ネガフィルムは光が強く当たった部分が黒くなり、
光が当たらない部分が透明になるため色の濃淡が生じます。
(ポジフィルムの場合は逆に光が強く当たった部分が透明になります)
現像したフィルムをプリントして写真が出来ます。
カラーネガフィルムは赤、緑、青、それぞれの波長の光を吸収する
粒子の層を重ね合わせることで色を再現しています。
白色光から青色の光が失われるとイエローが、
緑色の光が失われるとマゼンダが、赤色の光が失われるとシアンが
それぞれ残ります(白色光は可視光全ての波長を含んだ光のことです)。
これにより、青感層を現像するとイエローに、緑感層はマゼンダに、
赤感層はシアンに発色するため、ネガフィルムでは色が反転して見えます。
下の写真は「多重露出」という、同じフィルムに違う風景を写す方法で撮影した写真です。
星景写真で星が線になっているのは、このような多重露出写真の撮影間隔を
ごく短くしていったものと考えると分かりやすいかもしれません。
仕組み
撮影日時: 2008年11月4日
18:37、18:47、19:00、19:14、19:25、19:37、19:42、各30秒ずつ
撮影地: 川内南キャンパス
対象: 月と金星
カメラ: Nikon New FM2
フィルム: Venus 400
レンズ: Nikon 24mm F2.8
絞り: F=8

☆2.2赤道儀☆

地球上の緯度と経度をそのまま天に移したのが赤緯と赤経です。
赤道儀は星の動きにあわせて、
モーターにより台座を赤経方向に動かすことで星を追尾します。
カメラ用三脚の上に載せられる"ポータブル赤道儀"というものもありますが、
写真が撮れる仕組みは星景写真と同じです。


図2の3

☆2.3レデューサー☆

図2.4は反射望遠鏡で直焦写真を撮る時の光の経路です。
直焦写真は望遠鏡の接眼部に直接カメラを取り付けて撮る事もできますが、
"レデューサー"というアダプターをつけることもあります。
レデューサーをつけると望遠鏡全体の焦点距離を短く出来るため、
F値を低く(明るく)することができ、短時間でより明るい像を得ることが出来ます。
また、レデューサーを付けることで写野が広くなるという利点もあります。
図2.5はレデューサーをつけた時の焦点距離の違いです。
レデューサーとは逆に、焦点距離を伸ばしてより天体の細部を観察することができる
"エクステンダー"というものもあります。


図2の4

図2の5

☆3.撮影条件☆

写真を撮る時は、その時の空の明るさや撮影対象に合わせて
レンズの絞りや露出時間(撮影時間)などを調整する必要があります。
同じような構図で撮影した写真でも条件を変えると、違った雰囲気を出すことができます。

☆3.1レンズの焦点距離☆

2.1カメラ・フィルムの仕組みで述べたように、
焦点距離はレンズから焦点までの距離のことです。
図3.1に両凸レンズを通る光の経路を示します。
対象からレンズまでの距離をa、レンズから像が出来るまでの距離をb、
レンズの焦点距離をfとすると、以下のような式が成立します。
1/a + 1/b=1/f
aとbの比(b/a)が大きいほど、得られる像は大きくなります。
天体写真を撮るときピントを無限遠(∞)の位置にあわせるのは、
対象までの距離aが無限遠と考えられるためです。
図3.2でfは焦点距離を、αは画角(フィルムに写しこまれる範囲)をあらわしています。
図3.2のように、焦点距離fをレンズに入った光線を屈折させる度合いと考えると、
焦点距離の長いレンズのほうがより狭い範囲を拡大して写せることがわかります。
ただし、焦点距離が長いとそれだけピントが合う位置もずれることになり、
得られる像も暗くなってしまいます。
例えば、無限遠の距離にある星にピントを合わせるには
焦点距離と同じ位置にフィルムをセットしなければなりませんが、
焦点距離が長いとそれだけレンズとフィルムの位置が遠くなり、
得られる光の量が少なくなってしまうのです(図3.2参照)
このことから、レンズの焦点距離の違いによって
写せる像の範囲(画角)や明るさが違ってくるのです。
図3の1
図3の2
一般に人間の目に近い像を撮影できるf=50mmのレンズを"標準レンズ"といい、
それより焦点距離が短いf=35mmやf=24mmのレンズを"広角レンズ"と呼びます。
逆にf=100mmやf=300といった焦点距離の長いレンズは"望遠レンズ"と呼ばれます。
f=20mm以下のf=16mmやf=13mmなどの短焦点レンズは超広角レンズといい、
人間の標準的な視角を超えた広い範囲を撮影することが出来ます。
その他にもf=16mm,17mmのレンズには、
画面中心からの距離と角度が比例する(等距離射影)
魚眼レンズなどもあり、広角レンズよりも
天球を人間の感覚に近い形で撮影することができます。
星景写真をとる場合は一般的に16~50mm程度のレンズを使います。
50mmのレンズはちょうどオリオン座が入るぐらいの範囲が撮れるレンズです。
星野写真の場合は、天の川など広い範囲を撮りたい場合は16~35mm、
ある星座に限定して撮りたい場合は50~100mm、
200mm以上だとオリオン大星雲やすばるなど、
肉眼で見えるような星雲・星団を撮ることができます。

Zenitar16mm2.8
撮影日時:  2007年9月24日26時20分から20分間
撮影地:  安達
対象:  オリオン座
カメラ:  minoltaXD
フィルム:  Fujifilm Provia 400x
レンズ:  Zenitar 16mm F2.8
絞り:  F=4.0
Nikkor24mm2.8
撮影日時:  2008年10月3日24時42分から11分間
撮影地:  安達
対象:  オリオン座
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Provia 400x
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=5.6
ROKKOR50mm1.4
撮影日時:  2007年9月24日26時00分から10分間
撮影地:  安達
対象:  オリオン座
カメラ:  minoltaXD
フィルム:  Fujifilm Provia 400x
レンズ:  MD ROKKOR 50mmF1.4
絞り:  F=2.8

☆3.2 F値と絞り☆

「絞り」とはレンズについている遮光板それ自体と、
その大きさを変えることによってフィルムにあたる光量を調節する機能の両方を指します。
F値はレンズによって作られる像の明るさを示す値で、以下のような式で表せます。
  F値=焦点距離f/有効口径D
有効口径は、レンズに光が入射できる円の直径と考えればよいと思います。
空の明るさや露出時間に応じて絞りを変えることで、
露出不足や感光(失敗写真例参照)を防ぐことが出来ます。
F値が大きくなると光量調節の穴が小さくなってくらい写真となります。
感度400のフィルムで撮影する場合、月没や明け方はF2.8~4、
星景・星野写真はF4~5.6をよく使います。
※著者(武田)の傾向であって、一般的なものではありません。
絞りにはピントの合う範囲を調節する役目もあります。
F値が大きいほどピントが合う範囲が増え、シャープな像を得ることが出来ます。
図3.3はレンズの絞りの簡単な仕組みです。
F22
F22
撮影日時:  2008年9月24日28時32分から20秒間
撮影地:  柏原山稜(京都市)
対象:  月とシリウス
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Venus 400
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=22

F11
撮影日時:  2008年9月24日28時33分から20秒間
撮影地:  柏原山稜(京都市)
対象:  月とシリウス
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Venus 400
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=11

F5.6
撮影日時:  2008年9月24日28時34分から20秒間
撮影地:  柏原山稜(京都市)
対象:  月とシリウス
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Venus 400
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=5.6

F2.8
撮影日時:  2008年9月24日28時35分から20秒間
撮影地:  柏原山稜(京都市)
対象:  月とシリウス
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Venus 400
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=2.8


☆3.3露出時間

月を撮る場合は通常60秒以下ですが、理科の教科書に載っているような
北天の写真(北極星を中心に星が回っている写真)などは2時間以上露出することもあります。
星景写真の場合、撮る方角やレンズの焦点距離によっても違いますが
大体1分以上の露出で星が動きます。
北極星の周りの星はあまり動きが大きくなく、
また焦点距離が長い(口径の小さい)レンズのほうが星の動きはわかりやすいです。

星野写真ではf値や空の明るさにもよりますが、
5分で1等星が、10分露出ぐらいから天の川が見え出します。
天の川は20~30分露出ぐらいが適当なようです。
30sec
撮影日時:  2007年9月23日28時32分から30秒間
撮影地:  蔵王
対象:  金星
カメラ:  Nikon New EM
フィルム:  Fujifilm Super 400FT
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=4.0
1min
撮影日時:  2008年3月8日20時05分から60秒間
撮影地:  安達
対象:  オリオン座
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Venus 400
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=2.8
5min
撮影日時:  2007年8月10日27時15分から5分間
撮影地:  安達
対象:  オリオン座
カメラ:  Nikon New EM
フィルム:  Fujifilm Venus 400
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=5.6
20min
撮影日時:  2008年3月8日22時10分から20分間
撮影地:  安達
対象:  オリオン座
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Venus 400
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=5.6
43min
撮影日時:  2007年9月23日26時17分から43分間
撮影地:  蔵王
対象:  オリオン座
カメラ:  Nikon New EM
フィルム:  Fujifilm Super 400FT
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=5.6

☆3.4露出時間(星野・直焦)

星野写真の露出時間による違いです。
右ページ、上から2番目の写真に入っている線は人工衛星の軌跡です。
10min
撮影日時:  2007年9月24日26時00分から10分間
撮影地:  蔵王
対象:  オリオン座
カメラ:  minoltaXD
フィルム:  Fujifilm Provia 400x
レンズ:  zenitar 16mm F2.8
絞り:  F=3.5
20min
撮影日時: 2007年9月24日26時20分から20分間
撮影地: 蔵王
対象: オリオン座
カメラ: minoltaXD
フィルム: Fujifilm Provia 400x
レンズ: zenitar 16mm F2.8
絞り: F=3.5
5min
撮影日時:  2007年9月24日26時50分から5分間
撮影地:  安達
対象:  オリオン大星雲
カメラ:  minoltaXD
フィルム:  Fujifilm Provia 400X(+1)
望遠鏡:  MT200 + レデューサー
10min
撮影日時:  2007年9月24日26時55分から10分間
撮影地:  安達
対象:  オリオン大星雲
カメラ:  minoltaXD
フィルム:  Fujifilm Provia 400x(+1)
望遠鏡:  MT200 + レデューサー
20min
撮影日時:  2007年9月24日27時05分から20分間
撮影地:  安達
対象:  オリオン大星雲
カメラ:  minoltaXD
フィルム:  Fujifilm Provia 400x(+1)
望遠鏡:  MT200 + レデューサー

☆3.5フィルムの種類(ポジ・ネガ・白黒)☆

フィルムにはポジフィルム(リバーサルフィルム)
カラーネガフィルム・白黒フィルム(ネガ・ポジ)があります。
ポジフィルムは写真を撮ったときの色の再現性や粒状性(画質)が良いのですが、
露出の決定が難しく、フィルム自体も高価です。
カラーネガフィルムは比較的安価で、現像できる店も多いため使いやすいです。
また、白黒フィルムは粒状性が良く独特な味わいがあります。
PVIA400X
撮影日時:  2008年10月3日23時44分から56分間
撮影地:  安達
対象:  夏の大三角
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Provia 400x
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=5.6
Venus400
撮影日時:  2008年6月12日20時10分から30秒間
撮影地:  早坂近辺
対象: 
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Venus 400
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=2.8
Neopan400PRESTO
撮影日時:  2007年10月2日26時17分から7分間
撮影地:  安達
対象:  冬の大三角
カメラ:  Canon EOS Kiss
フィルム:  Fujifilm Neopan400 PRESTO
レンズ:  Canon EF 24mm F2.8
絞り:  F=3.5

☆3.6フィルム感度(ISO感度)☆

フィルムの光に対する感度をあらわします。
数字が大きくなるほど光に敏感なフィルムということです。
コンビニなどで売られているフィルムはほとんどがISO400で、
一番扱いやすいフィルムだと思います。
ISO800以上は、流星や彗星を撮りたい時や、
星雲・星団などを直焦で撮る時によく使います。
また、ISO100などの感度の低いフィルムは、
月や太陽の撮影や長時間露出などに向きます。
以下の写真はそれぞれ上から
感度50 +1、400、400 +1、1600のフィルムで撮影した写真です。
一番上の写真で星の色が強く出ているのは、
フィルムの性質で感度とはあまり関係はありません。
3番目のProvia400+1はポジフィルムを1段増感(2倍増感)したもので、
感度800のフィルムに近い明るさです。
最後の感度1600の写真は、
画面上ではわかりづらいかもしれませんが、かなり画質が粗いです。
FortiaSP
撮影日時: 2008年10月1日25時40分から25分間
撮影地:  蔵王
対象:  オリオン座
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Fortia SP 50 +1
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=4.0
Venus400
撮影日時:  2007年10月17日24時16分から16分間
撮影地:  安達
対象:  オリオン座等
カメラ:  Nikon New EM
フィルム:  Fujifilm Venus 400
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=4.0
PROVIA400X
撮影日時:  2008年4月28日24時00分から10分間
撮影地:  安達
対象:  北斗七星
カメラ:  minoltaXD
フィルム:  Fujifilm Provia 400x +1
レンズ:  MD ROKKOR 28mm F2.8
絞り:  F=4
NATURE1600
撮影日時:  2008年10月20日21時57分から3分間
撮影地:  安達
対象:  おうし座
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  NATURE 1600
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=5.6

☆4.失敗写真☆

失敗写真例です。
1番上の写真は露出過剰(白トビ)、2番目は露出不足、3番目はガイドエラー、
4番目はレンズに露が降りて曇った写真、最後はピンボケです。
最後の3枚のような写真は三脚に銀テープなどの目印を貼ったり、
カイロをレンズにつけたりすることで防ぐことはできます。
せっかく撮った写真の結果がこうだと悲しくなるので気をつけましょう
露出オーバー>
撮影日時:  2008年6月13日25時28分から32分間
撮影地:  安達
対象:  さそり座
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Venus 400
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=2.8
露出アンダー
撮影日時:  2008年3月6日24時40分から30秒間
撮影地:  牡鹿
対象:  legacy
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Venus 400
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=4.0
ガイドエラー
撮影日時:  2007年10月23日28時20分から15分間
撮影地:  安達
対象:  オリオン大星雲
カメラ:  minoltaXD
フィルム:  Fujifilm Provia 400x +1
望遠鏡:  MT200 + レデューサー
結露
撮影日時:  2007年9月20日27時35分から15分間
撮影地:  安達
対象:  シリウスと金星
カメラ:  Nikon New EM
フィルム:  Fujifilm Super 400FT
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=11
ピンボケ
撮影日時:  2008年3月8日25時15分から5分間
撮影地:  安達
対象:  北天と安達観測所
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Provia 400x
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=5.6

☆5.撮影場所☆

東北大学天文同好会で利用する観測・撮影地を挙げてみました。
以下の各ランク付けは作成者の勝手な感想です。
空の暗さはその時々の気象状況にかなり左右されるため、あまり参考にはなりません。
利便性は、ベンチや机などの休憩スペースの有無や、
一番近い自販機・コンビニまでの距離などで判断しています。

☆5.1東北大学天文同好会安達観測所☆

川崎町にある東北大学天文同好会の観測所です。
安達に住んでいる方の土地を借り、観測所を自分たちで建てたものです。
望遠鏡・タカハシMT200(口径20cm)で星を観察したり、練炭式の 掘りごたつで暖まったり、
屋根の上で寝転んで星を観たりしています。
仙台市から30kmほどの距離で常に西の空が明るいのですが、
たまに冬の天の川が見えるほど晴れることもあります。
(空の暗さ☆☆ 景色☆☆ 利用頻度☆☆☆ 利便性☆☆☆)
安達観測所
安達観測所
撮影日時:  2008年4月4日22時58分から60秒
撮影地:  安達
対象:  しし座と土星
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Venus 400
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=4.0

☆5.2松島☆

観光地に近く、観測できるような場所はないので 主に天体写真の撮影場所として利用されています。
安達観測所よりわずかに近く、
すぐそばが海で景色も良いので、原付組を中心に人気があります。
(空の暗さ☆ 景色☆☆☆ 利用頻度☆ 利便性☆)

松島
撮影日時:  2006年6月1日25時57分から8秒間
撮影地:  松島
対象:  シリウス
カメラ:  Canon EOS Kiss Digital N(改造:無)
レンズ:  シグマAF18-50mm
絞り:  F=4.0

☆5.3蔵王

年に2~3回ほど蔵王遠征企画があります。
標高が高いので仙台で曇っていても山頂付近なら晴れていることがあります。
雲が山頂より下にある時は、街明かりが雲でさえぎられるのでかなり暗いですが、
中途半端な高さにあると街明かりを反射してしまい、期待はずれに終わることもあります。
11月上旬から4月下旬の間は閉山となり、夏でも夜は10℃近くまで気温が下がるので、
利用できるのは主に夏場に限られます。
(空の暗さ☆☆☆ 景色☆☆☆ 利用頻度☆ 利便性★)
蔵王
撮影日時:  2007年9月23日27時03分から47分間
撮影地:  蔵王
対象:  西天
カメラ:  Nikon New EM
フィルム:  Fujifilm Super 400FT
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=5.6

☆5.4牛橋公園(亘理郡山元町)☆

年に2~3回、しし座流星群やふたご座流星群などの流星群観測を行っています。
仙台から離れているため、空はきれいで流星群観測の成功率は高いです。
歩いて15~20分ほどの距離にコンビニがあるため、長時間の観測も比較的楽な場所です。
(空の暗さ☆☆ 景色☆☆ 利用頻度☆ 利便性☆☆)
牛橋
撮影日時:  2007年12月14日23時45分から3分間
撮影地:  牛橋公園
対象:  冬の大三角
カメラ:  Pentax K1000
フィルム:  Fuji SUPERIA Venus 800
レンズ:  smc Pentax-A 28mm F2.8
絞り:  F=2.8

☆5.5牡鹿半島(石巻市)☆

遠いのでめったに行きませんが、
宮城県全体が雲に覆われていても、 半島のあたりだけ雲に切れ目があったりします。
標高が高い(安達と同じくらい?)ため夜景がきれいにとれます。
時期によってはイカ釣り漁で海上が明るくなるため、
漁業組合などに問い合わせてから行った方が良いと思います。
(空の暗さ☆☆ 景色☆☆ 利用頻度★ 利便性☆)
牡鹿
撮影日時:  2008年3月6日25時55分から15分間
撮影地:  牡鹿
対象:  北天とつり橋
カメラ:  Nikon New FM2
フィルム:  Fujifilm Venus 400
レンズ:  Nikkor 24mm F2.8
絞り:  F=5.6

☆5.6神割崎(石巻市南三陸町)☆

牡鹿半島より北にあり、09年2月に仙台天文同好会の方々と合同観望を行いました。
神割崎という、岬の岩が2つに裂けた地形がある観光名所でもあります。
近くに明るい街がなく街灯も少ないため、かなり空は暗いです。
(空の暗さ☆☆☆ 景色☆☆☆ 利用頻度★ 利便性☆)
神割崎
撮影日時: 2009年2月21日23時25分から5分間
撮影地: 神割崎
対象: からす座
カメラ: Nikon New FM2
フィルム: Fujifilm Super 400
レンズ: Nikkor 35-70mm F3.3
絞り: F=4

☆県立自然公園旭山(石巻市)☆

新スポットです。空はそれほど暗くないのですが、
桜並木や神社などがあり写真撮影に向くと思われます。
(空の暗さ☆☆ 景色☆☆☆ 利用頻度★ 利便性☆)
旭山

☆6.近場で撮ろう!天体(夜景?)写真☆

東北大学川内北キャンパスで撮った夜景写真です。
右ページ下の第一食堂脇に写っているのはゴースト
(光のレンズによる反射が写りこんだもの)です。
川内
撮影日時: 2008年6月12日21時00分から40秒間
撮影地: 東北大学
対象:A-B棟間の渡り廊下
カメラ:Nikon New FM2
フィルム:Fujifilm Venus 400
レンズ: Nikkor 24mm F2.8
絞り: F=2.8
川内
撮影日時: 2008年6月12日20時40分から3分間
撮影地: 東北大学
対象: 貧食(旧第二食堂)
カメラ: Nikon New FM2
フィルム: Fujifilm Venus 400
レンズ: Nikkor 24mm F2.8
絞り: F=2.8
川内
撮影日時: 2008年6月12日21時10分から30秒間
撮影地: 実験棟付近
カメラ: Nikon New FM2
フィルム: Fujifilm Venus 400
レンズ: Nikkor 24mm F2.8
川内
撮影日時: 2008年6月12日21時00分から40秒間
撮影地: A棟
対象:
カメラ: Nikon New FM2
フィルム: Fujifilm Venus 400
レンズ: Nikkor 24mm F2.8
絞り: F=2.8
川内
撮影日時: 2008年6月12日20時51分から4分間
撮影地: 東北大学
対象: 第一食堂
カメラ: Nikon New FM2
フィルム: Fujifilm Venus 400
レンズ: Nikkor 24mm F2.8
絞り: F=8

☆7.天体写真を撮ってみよう☆

天体写真は星の写真ばかりではありません。
月や太陽の写真も天体写真に含まれます。
例えば、海に沈み行く月を携帯で撮ったとしてもそれは立派な天体写真なのです。
ここでは、一番簡単な星景写真の撮り方について説明します。
星景写真といっても、難しいしいことはありません。 1.カメラをバルブ(シャッターを手押しで開け閉めできる状態)にし、
絞りを調節する(焦点は無限遠に合わせる)

2.カメラを三脚や机の上におき、星空に向けて、ひたすらシャッターボタンを押し続ける。
これでも銀塩(フィルム)カメラなら星景写真は撮ることができます。
(使い捨てカメラのようにシャッタースピードの
調節が出来ないカメラだと難しいかもしれません)

デジタルメラの場合だと、撮影モードをマニュアルにし、
焦点距離を無限遠に設定してから、
何枚か撮った写真をコンポジット(合成)して写真を撮ります。
星景写真の場合、「比較明合成」という手法が使われることもあるようです。
天体写真を撮る上で必要なもの
カメラ
フィルム
レリーズ
三脚
筆記用具
他にも、減光ライト、カイロ、カメラの掃除用具などがあると便利です。
  レリーズはシャッターをずっと押したままの状態にする道具です。
カメラ屋さんで千円前後で売っているので必ず用意しましょう。
カイロはレンズに露が降りるのを防ぐために使います。
夏場の明け方等は気がつくとレンズが曇ってしまうため要注意です。

また、撮影場所には他の撮影者が来ていることもあります。
自分が撮っている方向をライトなどで照らすと、
写真の一部が白くなったりしてしまうため、
ライトは必ず減光したものを使いましょう。
(ライトに赤いビニールテープを張るだけでも良いです)
撮影風景

☆8.参考☆

http://www.jcii-cameramuseum.jp/
最新藤井旭の天体写真教室 藤井旭著 誠文堂新光社
天体写真の撮影 富田弘一郎著 恒星社厚生閣
図解雑学カメラの仕組み 丹野清志著 ナツメ社
図解雑学銀塩写真 丹野清志著 ナツメ社
新アサヒカメラ講座4(撮影機材と暗室現像編) 朝日新聞社

☆9.製作・撮影☆

SP

☆撮影

  佐藤岳仁(A3)  Canon EOS Kiss Digital
  戸澗宏太(A5)  Canon EOS Kiss Digital N
  籔本洋(A5)    minoltaXD
  小坂祐貴(A6)  Pentax K1000
  早水友洋(A6)  Canon EOS Kiss Digital N
  武田舞(A6)    Nikon New FM2

☆製作

  北山亜紗美(A4)
  末廣悠子(A4)
  多賀谷友美(A6)
  武田舞(A6)
そのほかにも沖田さん(A4)、中村君(A7) 、別所君(A7)他、
様々な方々に協力・応援いただきました。
また、電子化にあたっては籔本さん(A5) に大変お世話になりました
この場を借りて感謝します。
この「天体写真講座」を通して少しでも天体写真に興味を持っていただけたら幸いです。

☆おまけ~望遠鏡の雄姿~☆

MT200

MT200 MT200
口径20cmの反射望遠鏡.安達観測所所有の望遠鏡で、晴れた日は大人気です。

フローライト FS102

Fs-102
部室所有の屈折式望遠鏡.

40cm Dobsonian

ドブ ドブ
個人所有の望遠鏡."趣味の天文"に詳しい説明があります。

VISAC

VISAC VISAC
個人所有の望遠鏡.

セレストロンC8

C8 C8
個人所有の望遠鏡.シュミットカセグレン

セレストロンC6

C6 C6
個人所有の望遠鏡.
右の写真で上に乗っているのはPentax K1000です。

written by M.Takeda(2009)..

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