2016 春 写真展


今回の写真展は4月に仙台市天文台にて行われました。
ご来場くださった皆様、誠にありがとうございました。
写真をクリックすると大きな写真が見れます。

第1位 神域
撮影者:天野 領太 (2014年度入学)
撮影地:奈良県 堀越神社神域 龍王ヶ淵
カメラ:Cannon EOS 6D 露出時間:15秒
レンズ:SAMYANG 14mm 絞り:2.8 ISO感度:6400

深い山奥に人知れず存在する堀越神社
その境内に広がる龍王ヶ淵は、神域とされます
池の周りには背の高い木々が生い茂り、
空を見上げれば、木々に切り取られた星空が広がっています

この場所から風が消えた時、木々の葉音が収まり、
池の水面は鏡となって、周りの全てを映し出します

そして、この一瞬だけ、

池の水中へと、枝を伸ばす御神木は、
この世とあの世を行き来する龍のように見えます

静寂が去ると、再び水面は揺らぎ、
龍の姿は消えてしまうのです

第2位 何処へ向かうのか
撮影者:天野 領太 (2014年度入学)
撮影地:宮城県仙台市 秋保大滝付近 露出時間:15秒 カメラ:Cannon EOS 6D
レンズ: SAMYANG 14mm F値:2.8 ISO感度:3200 撮影焦点距離:14mm

川の水は、何処から来て、何処へ行くのだろうか
空の雲は、何処で現れて、何処で消えるのだろうか
星の光は、何処で光って、何処へ届くのだろうか
私たちは、なぜ生まれて、何処へ向かうのだろうか

かつて、鴨長明をはじめとした多くの人々が、時の移り変わりを詠みました
『万物は流転し、常に変わらないものなど存在しない
 人間以外は、そのことを受け入れるだけで、さほど気にしていない』

私たちは時に、過去を思い出し、その記憶に思いを馳せることがある
私たちは時に、未来を思い描き、その理想に希望を託すことがある
私たちは常に、手に入れてきたモノを愛し、失ったモノに後悔を抱く
私たちだけが、時の流れについて、考えることができる

『私たちは、なぜ生まれて、何処へ向かうのだろうか』という疑問は、
人に与えられた『生きる意味』なのかも知れません

第3位 お隣さんち (M31アンドロメダ銀河)
撮影者:柴田純平 (2015年度入学)
撮影地:安達観測所 撮影日時:2015/09/21 露出時間 総露出時間:93min 30sec
各フレーム別時間:330sec×17 カメラ 名称:EOS60D 撮影感度:ISO800
レンズ:MT-200 絞り:4.9 撮影焦点距離:1552mm
画像処理:ダーク、フラット、フラットダーク処理後コンポジットし、色調・コントラスト等を調整。その後ローカルコントラストやシャープ系の処理をかけた。

M31アンドロメダ銀河はアンドロメダ座にある渦巻銀河で秋ごろに肉眼でも観察することができます。この銀河は地球から約250万光年という比較的近いところに位置しており、近年の研究から秒速約300kmで我々の住む天の川銀河に接近していることがわかっています。また、約40億年後には衝突することも明らかになりました。

第4位 月のいたずら
撮影者:渡邉 達朗 (2012年度入学)
撮影地:静岡県富士宮市 田貫湖
撮影日時:2016年3月29日 3時54分 露出時間 総露出時間:20秒
カメラ:Canon EOS Kiss X5 撮影感度:ISO800
レンズ:SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE 絞り:F2.8
撮影焦点距離:15mm(35mm換算:24mm)
画像処理:Photoshop CS6にてノイズ処理、強調処理

この写真は富士山のふもとの湖で撮影したものです。でも、不思議に思いませんか。夜なのに、なぜこんなに富士山がはっきり見えるのか。この写真に写っていない何かのおかげで、ここまで明るく見えるのです。それは、月の存在があるからです。新月の時と、満月の時、意識してみると、まわりの景色の明るさがとても変わります。満月の時は月の明るさで影ができるのをご存知でしょうか。この写真は、月があることによって生まれた1枚なのです。よ~く見ると、月がどちらに出ているのかもわかってしまいます。
さらに、この写真を撮って5分も経たないうちに風が出てきてしまい、湖面が乱れてもうひとつの富士山が見えなくなってしまいました。湖面が落ち着いていたのはほんの10分といったところです。ほんとうについていました。

第5位 夏の香り
撮影者:小松 巧 (2013年度入学)
撮影地:宮城県柴田郡川崎町 安達
撮影日時:2016年2月8日5時18分
カメラ:Cannon EOS 6D 露出時間:10秒 ISO感度:6400
レンズ:SAMYANG 35mmf1.4 絞り:2.8

-10℃の彼誰時。厳冬の雪原から登る蠍の姿に夏の香りを感じた。

第6位 針銀河(NGC4565)
撮影者:渡邉 達朗 (2012年度入学)
撮影地:宮城県本吉郡南三陸町 神割崎
撮影日時:2016年2月8日 3:25~
露出時間 総露出時間:120分
各フレーム別:L :10分×9 R:5分×2 G:5分×2 B:5分×2(R,G,Bは2×2ビニング)
カメラ 名称:FLI ML8300 センサー温度:-30℃
フィルター:Baader Planetarium φ50mm LRGBフィルター
ピント合わせ方法:バーティノフマスク+ピントエイド
望遠鏡 名称:GS-200RC 口径:200mm 焦点距離:1600mm F値:8.0
補正レンズ:×0.75 レデューサー・フラットナー
合成焦点距離:1200mm 合成F値:6.0
ガイド撮影:Lodestar+PHD Guiding2によるOff-Axisガイド
架台 種類:ドイツ式赤道儀 名称:EM-200B
画像処理:Stella Image7でダーク・LRGB合成・レベル調整・デジタル現像
Photoshop CS6でノイズ・強調処理

この銀河(星がたくさん集まった天体)は、針のようにシャープな形から「針銀河」と呼ばれています。実際の針とは比べ物にならないくらい大きいですが。銀河の直径は19万光年で普通の針を5㎝だとすると、この銀河の針は2,000,000,000,000,000,000倍くらい大きい針になります。想像もできないですね。
またこの銀河の近くには星とは違った形をした小さな銀河たちがいくつか見られます。宇宙って広いですね~。

第7位 戦禍を呼ぶ彼岸花
撮影者:西森 智也 (2013年度入学)
撮影地: 本吉郡南三陸町 撮影日時:2015/2/21 3:31
カメラ:Canon EOS kiss x7i 露出時間: 20秒
レンズ: 18-35mm F1.8 DC HSM F値:2.0 ISO感度:800
撮影焦点距離:24.0mm(35mm換算 38.4mm)

荒寥とした原野に、暗雲から顔を覗かせるさそり座。鈍く錆色に光るアンタレスを中心としたこの星座を、赤く美しいが毒をもつ彼岸花に見立ててこのタイトルをつけました。僕の想像した禍々しいイメージ、伝わりましたでしょうか?

第8位 「大切なあの人は今、星となって夜空を廻る」
撮影者:吹澤 瑞貴 (2013年度入学)
撮影地:仙台市青葉区芋沢字大竹原佛國寺
撮影日時:2016年3月17日23時34分
露出時間 総露出時間:1時間48分 各フレーム別時間:30秒
カメラ 名称:Canon EOS 6D 撮影感度:ISO 800
レンズ:Canon EF 8-15mm F4L Fisheye USM 絞り:F6.3 撮影焦点距離:15mm

東日本大震災から5年。あの日失われた多くの尊い命。大切なあの人は今、星となって夜空から私達のことを見守ってくれていることでしょう。

第8位 サクラに寄る、カラスの夜
撮影者:西森 智也 (2013年度入学)
撮影地: 柴田郡川崎町 撮影日時:2014/4/22 23:15
カメラ: Canon EOS kiss x7i 露出時間: 30秒
レンズ: 18-35mm F1.8 DC HSM F値:1.8 ISO感度: 200
撮影焦点距離: 18.0mm (35mm換算 28.8mm)

桜の花に吸い寄せられるように、からす座が近づいていく。
そのようなイメージ撮りました。

第10位 河川敷の春
撮影者:吹澤 瑞貴 (2013年度入学)
撮影地:栃木県栃木市藤岡町 渡良瀬川沿い
  撮影日時:2016年3月31日0時40分
露出時間 総露出時間:1時間59分 各フレーム別時間:60秒
カメラ :Canon EOS 6D  撮影感度:ISO 640
レンズ:Canon EF 8-15mm F4 L Fisheye USM 絞り:F6.3 撮影焦点距離:15mm

栃木の実家に帰るといつも写真を撮りに行く渡良瀬川沿い。今年も写真を撮りに行くと菜の花が咲いていました。河川敷の土手に三脚を立ててカメラを設置し、シャッターボタンを押す。撮り終わるまで約2時間、カメラの横に座って星を眺めたり、川の流れを眺めたり。穏やかでゆったりとしたのどかな春の夜でした。

次回の写真展は10月28日~30日の東北大学祭で行われる予定です。
※各写真の著作権は撮影者にあります。無断転載等は固くお断りします。
written by Takanori Iizuka

Copyright © 2015 Tohoku Univ.Astronomy Club all rights reserved.